『岸辺のふたり』 (Father and Daughter)
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督
イギリスとオランダで製作
2000年 8分
2001年 米国短編アニメーション賞受賞。
英国短編アニメーション賞受賞。
ロシア・アニメの巨匠ユーリ・ノルシュテインに「この作品に初めて出会った時、『これは事件だ』と思った」と言わしめた。
私は、この作品を初めて観たときは、ストーリーがいまひとつ分からなかった。最後に親子が再開する場面は、心が温かくなった。
初めにストーリーがよく分からなかったのは、人物の絵が小さくて人物の顔が分かりにくい。
もう少しアップの絵があってもいいと思う。
その後に、作品の解説を読み、子供が成長して子供を産み、老人になって、最後に別れた父親と再開するのだと分かった。人の長い一生を、8分にまとめて表現するという手腕が素晴らしい。
モノクロの映像ながら、牧歌的な温かい感じが心地よい。
この監督は、オランダ出身なので、自分の生まれ育ったオランダを舞台にしたのかもしれない。
オランダと言えば、風車やチューリップが有名で、自然豊かでな美しい風景が思い浮かぶ。
同じオランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホも、牧歌的な風景を多く描いている。自然を愛していたのでしょう。
ゴッホの絵画
フェルメールは、優しくて美しい女性をたくさん描いた。
無音の絵画から、女性の繊細な感情を表す言葉が聞こえそうな気がする。
フェルメールの絵画
この作品の最後のシーンで、娘の老婆が父親のものと思われるボートを発見する。ボートが途中で海で沈んでしまったのだろうか。
そして、老婆が若返り、若いときの娘になる。これは老婆が亡くなり、幽霊となったということだろうか。
そして、すでに昔に亡くなり幽霊となった父親と再開する。
スピリチュアリズムによると、幽霊は若いころの姿に変えられるらしい。
音楽は、アコーディオンによる「ドナウ川のさざなみ」。
切なくて小品な感じが、映画によく合っている。
この作品の絵本版も発売されている。