ロシアのノルシュテインと宮崎駿の貴重な対談

ロシアのノルシュテインと宮崎駿の貴重な対談

この対談は、2004年に公開した『ハウルの動く城』の頃のロシアの番組のようです。

どなたか全ての会話に字幕をつけて頂けるとありがたい。


このような天才監督同士の対談は、内容が
とてもいいので勉強になる。またこのような対談があればいいですね。


ノルシュテイン監督
は、1941年生まれで今年2107年に76歳になる。76歳とは思えないほど、とても元気で創作力が衰えないのが素晴らしい。
日本にもたまに来日している。以前にNHKに出演した番組を見ました。

 

1980年から製作が続いているゴーゴリ原作の『外套』 をぜひ完成させて頂きたい。
ジャン=リュック・ゴダール監督が、10年かけて1998年に完成させた『ゴダールの映画史 』も素晴らしい大作ですが、『外套』も、完成するとアニメ史に残る凄い作品になるでしょう。

しかし、全体の長さは65分ほどになるらしい。何十年もかけて65分は短い。ノルシュテインの切り絵のアニメは、気の遠くなるような作業であることが分かる。


一つの作品に何十年もかけることは、根気強さや体力の面でも金銭面でも難しい。その意味で『外套』は、とても贅沢な作品と言える。

 

 

『話の話』  ユーリー・ノルシュテイン監督

『話の話』  ユーリー・ノルシュテイン監督
1979年 29分

 

 

『話の話』は、1984年に映画芸術アカデミーとASIFAによる国際アンケートで、なんと「歴史上、世界最高のアニメーション映画」に選ばれた。
1984年なので、かなり昔の評価ですが、最高に魂のこもった傑作中の傑作でないと、アニメ史上最高作品には選ばれない。

 

この作品は、まず、切り絵を使った独創的な映像が素晴らしい。以前に書いた霧につつまれたハリネズミの魂のこもった映像も素晴らしったですが、この作品も、ものすごく手が込んでいる。他の監督は真似できない。


しかし、物語が一般人には、やや理解しにくい。ロシアのエイゼンシュテイン監督の作品も、迫力のある映像の連続の物語に、観客は理解しきれないことがあるが、この作品も、一般の観客には、やや理解しにくいことがある。

しかし、映像が素晴らしいので、最後まで観ることができる。

 


この作品は、ノルシュテイン自身の過去の体験の記憶を映像化しているので、観客は、なんだか自分も懐かしい過去を思い出したような感覚を覚える。

母親の乳を飲む赤ん坊、戦争で人を失う悲しみ、家族の暮らしなど。それらがセリフ無しで、映像だけで物語が進行していくのもいい。


この作品も動物が主役。狼なのに、人の赤ん坊をあやすという心優しいのが可愛い。

29分ほどの短い作品ですが、とても内容の濃くて、見ごたえがある。
作品を何度も繰り返し観ることで、内容が少しずつ分かってくる。

日本のアニメは、セル画やCGが主流ですが、ノルシュテインのような切り絵のアニメがもっと出てくると、面白いと思う。

 

 

『霧につつまれたハリネズミ』 ユーリイ・ノルシュテイン 監督

霧につつまれたハリネズミ』  ユーリイ・ノルシュテイン 監督

ソビエト連邦 1975年
10分

この作品は、切り紙を使ったアニメーション。
全体を覆う霧は、細かい紙片を舞台上に置き、1フレームごとにすこしずつカメラに近づけていくことによって、表現されているという

細かい紙の芸術では、日本では昔から「ちぎり絵」がある。
山下清が有名。

ちぎり絵は、ちぎった紙を台紙に貼って表現した作品のこと。貼り絵、ちぎり紙とも言う。
人の手でちぎられた紙の質感が、温かみのある雰囲気を出している。

このアニメは、ちぎり絵をさらに細かくして、動かしたものといえるかもしれない。アニメの平面的なセル画とは、奥行きや質感が大きく異なる。

 

ノルシュテインが細かい紙を少しずつ動かして、一コマ一コマ撮影しているので、10分の作品に膨大な手間がかかっている。
手間が掛かる分、作品に作者の魂がこもっている。
この魂をこめるということが大切。
その魂を観客が感じて感動する。

最近は、CG(コンピュタグラフィックス)がどんどん進化して3Dも出てきているが、無機質で魂がこもっていないと感じることがある。

 

 

作品に登場するたくさんの動物たちが、とても可愛いくて、イキイキしている。ハリネズミ、犬、ミミズク、ガ、コウモリ、カタツムリ、馬、熊などが登場する。

おそらく、ノルシュテインが若い頃から、森を探検して、実際に出会って観察した動物たちを描いているのでしょう。
想像だけでは、動物のリアリティのある細かい動作までは、なかなか描けない。

この作品以外にも、ノルシュテインの作品には、さまざまな動物がよく登場するので、ノルシュテインは若い頃から動物が大好きなのが分かる。

 

『頭山』  山村浩二 監督

『頭山』  山村浩二 監督

2002年
10分

日本人初のアカデミー賞短編アニメーション部門 ノミネート。
2003年のアヌシー国際アニメーション映画祭アヌシー・クリスタル賞(最高賞グランプリ)受賞。
世界四大アニメーション映画祭(アヌシー・ザグレブ・オタワ・広島)のうちザグレブ、広島でもグランプリを獲得。三冠の快挙を遂げた。

この作品でアニメ映画祭の三冠とは、すごい。

 

 

この作品も、以前に書いた短編アニメの『岸辺のふたり』や『On Your Mark』や『つみきのいえ』と同じく、セリフ無しでおじさんの感情を表現しているのが良い。

国本武春の語りも、味わいがある。
しかし語りが終始続くので、ややうるさく感じる気もする。
語り無しのサイレント映画でも良かったと思う。
落語ネタを映像化するときは、サイレン卜映画で作ってみたらいいと思う。

 

何かと合体する映画は、以前にハエと男が合体して最後に死ぬ『ザ・フライ』があった。
あの作品は、物凄く気持ち悪かったが、『頭山』は、終始楽観的に観られる。最後の死もまったく悲しくない。


桜が咲くシーーンが、綺麗で一番好きです。やはり桜は、昔からの日本文化で、いつ見ても美しく感じる。
それが頭に咲くというユニークさ。

食べるサクランボと花見の桜は、実は桜の種類が違うが、この作品では同じにしている。
また、種を食べて頭に桜が生えることは、あり得ない。
その辺はご愛嬌ですが、これに詳しい人には納得いかないので、低評価になることがある。


 

 

最後に主人公がどうやって死んだのか分かりにくい。一体何が起きたんだ?という感じで終わるので、ややスッキリしない。

監督の顔写真も拝見しましたが、頭山の主人公にに少し似ている。
主人公は、作者の分身であることがよくある。

 

ロシアのノルシュテイン監督と会っているのをNHKのテレビで見ました。ノルシュテインも『頭山』を褒めていた。

これからもノルシュテインが賞賛する作品を生み出してほしい。

 

 

『つみきのいえ』 加藤久仁生 監督

つみきのいえ』 加藤久仁生 監督

2008年  12分3秒
受賞 アヌシー・クリスタル賞
    アカデミー短編アニメ賞

 

日本は昔からアニメが盛んですが、『つみきのいえ』は、2009年にアメリカのアカデミー短編アニメ賞を日本で初の受賞。

その後も、2017年現在まで受賞がないので、受賞するのは、とても難しいことだと感じる。日本の最高レベルの才能と技術を使った傑作アニメでないと受賞できない。


アニメは、平面的なセル画が多いですが、この作品は鉛筆のようなタッチで、絵の温かみをとても感じる。
鑑賞して癒されるような作品は貴重。
その分、手間がとてもかかったでしょう。
加藤監督は、多摩美術大学グラフィックデザイン科卒だけあって、絵をよく勉強している。


このような画風で長編アニメも作ると、国際映画祭で受賞できるような、素晴らしい作品ができると思います。しかし、手間とお金がものすごくかかる。


この作品も以前に書いた短編アニメの『岸辺のふたり』や『On Your Mark』と同じく、セリフ無しのサイレント映画なのも、お爺さんの淡々とした感じが出て良い。


地球温暖化による水面上昇で、家を積み木のように積み上げることは、現実には、まずあり得ないと思いますが、面白いアイデア。昔の西洋のバベルの塔を思い出した。

 

 

加藤監督は、「主人公である老人の生活を淡々と描くことで、人生というものを象徴的に表現しようと思った」
見た人たちが、人生の中で大切にしているものや過ぎ去ってしまったものに対してどのような姿勢をとるのか考えるきっかけになる作品にしたかった」という。


人の家や家具には、人の思い出が染み込んでいる。

このお爺さんの人生の中で、妻と過ごした思い出が最も大切であった。お爺さんの子供の時から、妻が死ぬまでずっと妻と一緒に過ごしてきた。


この作品は、お爺さんが人生を回想した後に、ワインを2つのグラスに注いで、グラスをチンして終わるので、起承転結の結に当たる部分が、少し弱いと思う。

個人的には、お爺さんが人生を回想した後に、何かの行動があればよかった。


老人が過去の人生を振り返るが、時が過ぎてしまえば、貴重な人の一生もあっという間だと感じる。


過去を振り返ったとき、かけがえのない自分の人生が良いものであったと感じるように、日々努力しなければならないと思った。

 

 

『On Your Mark』 宮崎駿 監督

On Your Mark 宮崎駿 監督

1995年  7分

「On Your Mark」の意味は「位置について」
陸上競技では、スタート時に使われる。

 

『On Your Mark』の歌の歌詞


作詞:飛鳥涼   作曲:飛鳥涼

そして僕らは いつもの笑顔と姿で
埃にまみれた服を払った

この手を離せば 音さえたてない
落ちて行くコインは 二度と帰らない

君と僕 並んで
夜明けを追い抜いてみたい 自転車

On Your Mark いつも走り出せば
流行の風邪にやられた

On Your Mark 僕らがそれでも止(や)めないのは
夢の斜面見上げて 行けそうな気がするから

On Your Mark

そして僕らは 心の小さな空き地で
互いに振り落とした 言葉の夕立

答えを出さない それが答えのような
針の消えた時計の 文字を読むような

君と僕 全てを
認めてしまうにはまだ 若すぎる

On Your Mark いつも走り出せば
流行の風邪にやられた

On Your Mark 僕らがこれを無くせないのは
夢の心臓めがけて 僕らと呼び合うため On Your Mark

そして僕らは

On Your Mark いつも走り出せば
流行の風邪にやられた

On Your Mark 僕らがそれでも止(や)めないのは
夢の斜面見上げて 行けそうな気がするから

そして僕らは

On Your Mark いつも走り出せば
流行の風邪にやられた

On Your Mark 僕らがこれを無くせないのは
夢の心臓めがけて 僕らと呼び合うため

On Your Mark
そして僕らは


宮崎駿監督によると、タイトルや歌詞をあえて曲解し、悪意に満ちた映画に仕立て、いつか来る未来に生きるということをイメージして制作したという。

まず、宙に舞う天使の少女が、際立って美しい。天使を見るだけで、ワクワクする。
この近未来の舞台に、天使が登場するのは、あまりないことだが、なぜか違和感が無い。


天使が、遥か彼方にの空に飛び立って行くのは、宮崎駿監督が得意とする表現技法。いつ観ても素晴らしい。


台詞が一切なしで、映像のみで物語を展開するのがいい。他のアニメ監督も、サイレントのアニメをどんどん作ると、いい勉強になる。

 

『On Your Mark』の歌の歌詞には、「On Your Mark(位置について)」が何度も出るので、その意味を込めて男性が天使を発見する場面が、何度も出るのかもしれない。


7分の短編に、3回ほど同じシーンが繰り返されるので、全体的に物語のリズムが、あまりよくないと思った。

短編は、単純な物語のほうが分かりやすい。


1995年の時点で、放射能で地球が汚染され、人が住みにくい時代を描くというのは、2011年の東北の大地震での原発事故を予言していたような気がする。


宮崎駿監督の先見性には驚く。

宮崎駿監督「タイトルや歌詞をあえて曲解し、悪意に満ちた映画に仕立て、いつか来る未来に生きるということをイメージして制作した


もしくは、更に先の未来のことかもしれない。

2062年の未来人も、未来は放射能で海が汚染され、魚介類が食べられなくなると言っている。


覚せい剤使用容疑によるASKA容疑者の逮捕を受け、「On Your Mark」のDVDが発売中止になっている。

覚せい剤使用による逮捕で、DVDが発売中止にまでなるとは、薬物使用が及ぼす負の影響力は、とても大きい。
薬物使用は、さまざまな面で多くの人に長い間、多大な迷惑をかけてしまう。


しかし、宮崎駿のファンは、ソフトを買って繰り返し見たい人が多いので、またいつか発売していただきたい。

 

 

 

 

アニメを自主制作する方法

アニメを自主制作する方法

以前に短編アニメの『岸辺のふたり』を紹介しましたが、アニメを自主制作する方法のサイトをいくつか紹介します。

初心者向け アニメの作り方(1)~(3)

 

無料のGIFアニメ作製ソフトに「EasyToon(イージートゥーン)」がある。
使い方のサイト  EasyToon 動画講座


そして、本格的にアニメを制作したいと思ったら、アニメの学校に通うといいです。


アニメは、膨大な手間暇が掛かるので、苦労が多いですが、良い作品が出来上がれば感動する。

まずは、10分ほどの短編から作ることをお勧めします。
良い作品ができたら、ショートフィルムの映画祭がいくつかあるので、出品するといいです。

 

宮崎駿も1995年にCHAGE and ASKAの「On Your Mark」のプロモーション・フィルムとして、約7分の短編アニメ 『On Your Mark』 を制作している。


この作品は、約7分の短編ですが、さすがジブリらしくて内容がとても濃い。

一回見るだけでは、全部を理解できないので、何度も観てしまう。後でこういうことだったのかと、分かってくる。

 

 

 

『岸辺のふたり』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督

『岸辺のふたり』 (Father and Daughter)
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督

イギリスとオランダで製作
2000年 8分

2001年 米国短編アニメーション賞受賞。
      英国短編アニメーション賞受賞。

ロシア・アニメの巨匠ユーリ・ノルシュテインに「この作品に初めて出会った時、『これは事件だ』と思った」と言わしめた。

 

 

私は、この作品を初めて観たときは、ストーリーがいまひとつ分からなかった。最後に親子が再開する場面は、心が温かくなった。


初めにストーリーがよく分からなかったのは、人物の絵が小さくて人物の顔が分かりにくい。

もう少しアップの絵があってもいいと思う。


その後に、作品の解説を読み、子供が成長して子供を産み、老人になって、最後に別れた父親と再開するのだと分かった。

人の長い一生を、8分にまとめて表現するという手腕が素晴らしい。


モノクロの映像ながら、牧歌的な温かい感じが心地よい。

この監督は、オランダ出身なので、自分の生まれ育ったオランダを舞台にしたのかもしれない。

オランダと言えば、風車やチューリップが有名で、自然豊かでな美しい風景が思い浮かぶ。


同じオランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホも、牧歌的な風景を多く描いている。自然を愛していたのでしょう。

ゴッホの絵画

 

同じくオランダの画家ヨハネス・フェルメール

フェルメールは、優しくて美しい女性をたくさん描いた。
無音の絵画から、女性の繊細な感情を表す言葉が聞こえそうな気がする。

フェルメールの絵画

 

 

この作品の最後のシーンで、娘の老婆が父親のものと思われるボートを発見する。ボートが途中で海で沈んでしまったのだろうか。

そして、老婆が若返り、若いときの娘になる。これは老婆が亡くなり、幽霊となったということだろうか。
そして、すでに昔に亡くなり幽霊となった父親と再開する。

スピリチュアリズムによると、幽霊は若いころの姿に変えられるらしい。

音楽は、アコーディオンによる「ドナウ川のさざなみ」。
切なくて小品な感じが、映画によく合っている。

この作品の絵本版も発売されている。

 

 

 

 

ショートショートフィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)のネット予約

 

ショートショートフィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) 2015

チケットをネット予約するには、スマートフォンが必要で、スマートフォンがない場合はパソコンで印刷する。

スマートフォンやプリンターを持ってない人は予約できない。当日券を購入するしかない。映画館のネット予約のようにしてほしかった。